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奈良県立医科大学高度救命救急センター研修プログラム


初期研修プログラム概要


初期研修プログラムの意義:
初期研修を終了した時点で、医師として単独で救急患者を診る際に、患者を適切に評価し、重症例であっても、全身状態を保ちつつ、救命センターに搬送できるような人材を育成することを目標とします。
特に救命センターでの3ヶ月の研修を行う上で、下記に述べる最低限取得するべき知識や技術の内容を習得できるように研修を行います。



研修方法
○チューター制度:
  初期研修医個人に対して、担当救急医がチューターとなり、研修期間の指導を行う
○情報提供
  チューターから勉強法,文献検索法,文献やガ イドライン・教科書の提示,講習会の紹介
○ 研修中の患者管理以外での研修方法や内容についての疑問や質問の受付
○ 初期研修医は、経験症例などに関し、症例リストを記入しながら習得すべき知識・技術の整理



習得すべき知識・技術


■ 心肺蘇生
A. 一般教育目標
心肺停止の最初の10分間に行うべき初期治療を述べる事ができる

B. 行動目標
1. 心肺停止の定義を説明することができる
2. 心停止の波形診断を説明でき,除細動の適応を述べることができる
3. 胸骨圧迫,人工呼吸を実施することができる
4. 使用する薬剤の種類と投与方法について説明することができる
5. 心肺停止症例に対し,リーダーとして指示を出すことができる
6. 蘇生後の対応(酸素濃度,低体温導入など)について述べることができる


■ 多発外傷
A.一般教育目標
多発外傷の定義を理解し,初期治療を述べることができる

B.行動目標
1. AIS,ISS,RTS,PTDを説明することができる
2. 多発外傷の定義を説明することができる
3. 外傷初期診療のprimary ABCDEを説明することができる
4. 外傷初期診療のsecondary ABCDEを説明することができる
5. FASTを実施することができる
6. 輸血の適応,大量輸血に関して説明することができる
7. 緊急を要する骨折(骨盤骨折,麻痺・膀胱直腸障害を伴う脊椎疾患、血管損傷を伴う骨折)を述べる,その対処法を述べることができる
8. 開放骨折の治療法について述べることができる


■ 意識障害
A.一般教育目標
意識障害を評価し,初期治療を述べることができる

B.行動目標
1. JCS,GCSによる意識障害の評価を行う事ができる
2. 意識障害の鑑別診断(AIUEOTIPS),必要な検査について述べることができる
3. 意識状態から気道確保の必要性を述べることができる
4. 意識障害の初期治療について説明することができる
5. 中毒の初期対応に関して述べる事ができる


■ 集中治療管理
A.一般教育目標
集中治療を必要とする患者の評価法および治療法について述べることができる

B.行動目標
1. ICU患者の鎮痛鎮静度を評価し,適切な鎮痛鎮静を行うことができる
2. 脳低温療法の適応,実際の方法について述べる事ができる
3. 人工呼吸器のモードに関して述べ,人工呼吸管理を行うことができる
4. 抜管の条件について説明することができる
5. 血液ガスデータを評価することができる
6. EGDTについて説明することができる
7. ショックの分類と対処法について述べる事ができる
8. 循環作動薬の種類,適応,使用法について説明することができる
9. ICU患者の循環管理に必要なモニターの種類を述べ,そのデータより患者の循環動態を述べることができる
10. DICの診断と治療に関して説明することができる
11. 栄養療法に関して述べることができる
12. 患者の疾患から安静度やリハビリの導入に関して述べることができる


■ 手技
A.一般教育目標
救命センターで患者を処置,治療を行う上で必要な手技を述べることができる

B.行動目標
1. CVCの挿入法に関し説明する,単独で行うことができる
2. ミニトラックの挿入法について説明することができる
3. 気管切開法に関して説明することができる
4. 輪状甲状靭帯切開法について述べる事ができる
5. 胸腔ドレーン挿入法を述べる,行う事ができる
6. 動脈圧カテーテル挿入法を述べる,行う事ができる
7. Difficult airwayの対処法を説明することができる


■ 脳卒中・頭部外傷
A.一般教育目標
脳卒中患者の初期治療を述べることができる
B.行動目標
1. 脳卒中の初期管理に関して述べることができる
2. 脳卒中,頭部外傷の分類を述べることができる
3. 頭部CT画像から脳卒中,頭部外傷の診断をすることができる
4. NIHSSを記載することができる
5. DAIの診断を行うことができる


■ 広範囲熱傷
A.一般教育目標
広範囲熱傷の評価,治療法を述べることができる。
B.行動目標
1. 熱傷範囲,熱傷深度を判定し,Burn Index,PBIを計算できる
2. 熱傷初期輸液管理を述べる,行うことができる
3. 熱傷交換を行うことができる


■ 四肢外傷
A.一般教育目標  
四肢外傷の取り扱いと初期治療が理解できる

B.行動目標  
1.循環障害の評価など臨床所見をとることができる  
2.正しいレントゲンの撮影方法を述べることができる  
3.肉眼所見、レントゲンなどから障害部位の説明ができる  
4.初期治療として正しい外固定方法を述べることができる  
5.四肢外傷の治療について述べることができる


■ 脊髄損傷
A.一般教育目標  
脊髄損傷の診断と評価、初期治療を述べることができる。

B.行動目標  
1.Frankel分類、ASIA分類による脊髄損傷評価を行うことができる  
2.脊髄損傷患者の急性期合併症について述べることができる  
3.四肢の神経学的評価について述べることができる  
4.不安定性脊椎に対する手術療法について述べることができる。  
5.患者の疾患から安静度やリハビリの導入に関して述べることができる


<オプション>
縫合処置ができる
広範囲熱傷の手術適応について述べることができる
災害医療について述べる事ができる
体外循環の適応について述べることができる

 








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